松本清張著「点と線」(四分間の作為、必然と偶然、女の情念)

以前、テレビ朝日のたけし主演ドラマ「点と線」が大々的に放送されていた。私はそれをあえて観なかった。皆が松本清張の代表作と掲げるこの作品を是非原作で堪能したかったからである。

松本清張原作の映画化されたものはテレビ放送でよく観てきました。体制批判、官僚批判、そして弱者が悪に手を染めざるを得ない現実の不条理などを、著者は激しく、時には生々しく、人間の秘めたる心の襞まで作品のなかで露わにさせる。大好きな作家です。

さて、今日この作品を読了しましたが、始めから終わりまで読むのを中断することが出来なかった。推理小説ってこんなに面白いのに、今まで手にすることがあまり無かったのがとても悔やまれます。

あらすじは明快であり、そこに関わってくる人々の姿、生き様、思考を味わえます。でもここに詳しく書くと皆さんの楽しみを奪うことになる。どうしよう?

小生が最も興味を持った人物は、渦中の安田辰郎の妻亮子であった。彼女はもう助かる見込みのない肺結核を患っており夫とは肉体的に愛し合えない。そして亮子は最後決断するのである。本来、夫の行動に対してのアリバイ崩しに主眼のある作品ではあるが、私はそれ以上に亮子が鎌倉の自宅で何を思いながら電車の時刻表を読み、更に夫の愛人お時を見ていたか、病弱な体に宿るその激しい情念のギャップをずっと想像していました。

読了後の今も、老刑事の鳥飼重太郎や事件の重要人物よりも、この亮子夫人の行動がこの心を捕らえて放さない。

そう言えば、僕が見た限り、清張さんの映画化された作品の結末では、女性が重要な役割を担っている場合が多いですね。

いやあ、本当に今日は頭を捻りながら読んだので疲れました。

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